青森おっぱい

山本並子14歳、青森県北津軽郡中泊町生まれ中里育ち。ぺったんこ。

もくじ

青森おっぱい

「あー、もう!ちんこ触んな!」

並子が朝の起き抜けに微睡んでいると、廊下を挟んだ隣の部屋から父の悲鳴が聞こえた。
それから少しして父がのそのそ階段を降りていく。
ギシギシと木の古い階段が一段ずつ軋む足音に混じって、すりガラスの引き戸をガラッと開ける物音が次に聞こえる。
まだぼんやりの頭で反応せずにいれば、雑に上掛けのタオルケットの下へ入って来た母の手が、並子のパジャマの中に突っ込んで薄い胸部を揉んだ。

「あー、もう!だはんでが!おっぱい触るなってな」

途端に、並子も先程の父のような悲鳴を上げパッと飛び起きたが、もんどり打って再び布団の上に倒れた。

家族がみんな揃って休日の朝は、いつも母のセクハラから始まる。
並子の母は変態だ。

「なみ子おはようー」

「…………おはよう……」

「なあなあ、お母さん腹減ったあってー。まま食べし」

並子の寝起き早々の憤慨などはどこ吹く風。
にっこりの笑顔で、むっちりの体を子供みたく揺らしながら、ほがらかに強請るアラフィフの母・サヨコ。

並子の母は今日も自由である。

どちゃくそめごい津軽鉄道のゆるキャラつてっちーとは

つてっちーは、津軽鉄道のPRのために誕生したイメージキャラクター。
ねぷた囃子(ばやし)を聞くと、うきうきする永遠の二十歳。
津軽鉄道の車両のパンツをはいて頑張っている。

つてっちーのプロフィール

出身地:青森県の津軽鉄道沿線
誕生日:昭和5年11月13日のような気がする
性別:おとこのこ
年齢:永遠の20歳
職業:津軽鉄道のPR
性格:引っ込み思案だけど好奇心旺盛、ネプタ囃子を聞くとウキウキする。
好きな食べ物:りんご、りんごのジャム入りのどら焼き、ストーブ列車で焼いたスルメ(と、その香りも)

つてっちーの持ちネタ

・青森のT.M.Revolution
・つてっちーザイル
・つてっちー体操第一
・(津鉄に)来いするフォーチュンクッキー
・つてっちーだぞ!
・つてっちー100%
・津軽鉄道ダンス部つてっちーヒーロー
・(津軽の)雪に代わっておしおきよ
・つてっちーはん(ナイスひょっこり)
・カモンベイビーつてっちー

つてっちーの沿革

五所川原市と中泊町を結ぶ津軽鉄道のゆるキャラ作りは、以前より検討されていたが財政難で延期されていた。
ふるさと納税を活用して『つてっちー』は生まれた。
モチーフは大人にも子供にも好かれやすく可愛らしい犬。津軽半島観光アテンダントの乗務員とおそろいの帽子に、りんごのアクセサリーをつけている個性派。
津軽鉄道(本社・五所川原市)が2015年4月18日にゆるキャラを発表。イメージキャラクターの名前を公募し、結果2015年9月5日に名前を「つてっちー」に決めた。
名前の由来は津軽鉄道の略称「津鉄(つてつ)」の響きから。子供にも親しみやすくひらがな。

つてっちーのヘルニア情報

つてっちーのヘルニアも元気になりました。
もう完治したと、つてっちー本人は令和元年7月にツイッターでツイート。

――と、ここまで書いたところで、明日の分のページが埋まった。
机に向かっていた並子はシャープペンシルを投げ出す。
ぐわっと椅子の背もたれに体重をかけて背伸びの運動をし、ふうっと一息ついた。
青森の東京より短い夏休みがもう半分を過ぎた。
今は、どこも県内は佞武多祭り一色だ。ねぶたが終わってお盆が来たら、あっという間に夏休みも終わってしまう。
ねぶたにお盆に父の仕事の夏季休暇と、おでかけが多くなりがちな八月は忙しい。今日の内にあともう三日分くらいは片付けて一人勉強の貯金を作って置きたい。

並子の通う中泊町立中里中学校(通称なかちゅー)で、宿題として出されている一人勉強。

ルールは毎日一日一ページ。
自らテーマを考え、家庭学習に取り組もうというものだ。

これは並子が小学校の時にも学校で行われていて、漢字の書き取りをするか、算数ドリルを解くか。
だいたいの周りは誰でも似たり寄ったりな、焼き直したような一人勉強を毎日繰り返していた。
なるべく文字を大きく書くのはハッキリと読めるから。
なるべく間隔を空けて書くのは見る人が見やすいから。
子供は子供なりの小賢しさがあり、親切心と自己顕示欲を担任の先生に押し売りしながら、あくまで自然を装い、より少ない手間でノートを埋めていく。
そんな中、並子の一人勉強ノートは毎日びっしりと我が道を突き進んだ。

並子は家でペットをいろいろ飼っている。
だから一人勉強のテーマは、犬の散歩、めだかの飼育、沼エビやタニシの繁殖、亀の越冬、にわとりが産んだ自家製のタマゴなど、いきものの観察日記だった。
犬の『からあげ』、めだかの『さしみ』、沼エビの『かきあげ』、タニシの『みそしる』、亀の『丸焼き』、にわとりの『ハミチキ』…。
ハミチキはコンビニのレジに売っているフライドチキンのことを母がそう言う。
どれも名前が食べ物だが名付け親は母だ。
並子が周りの生徒と変わった一人勉強をするのも母の入れ知恵が始まりだった。

「お母さん一人勉強って何やれば良いと思う?」

「どったんずやれって先生したば」

「えっとさー漢字練習とかだって」

「おめ、そったのやっておもしれだな?」

「宿題さ面白れぇとか、ねぐね」

「漢字練習だの学校でやるべな。もっとおもしれごと、やれば良でね?絶対やねばまいねんだば、おもしれ方が良いでば」

「どったのや?」

「わい、簡単だ。さしみば観察でもして何が書げば良いっきゃ」

「そいだば観察日記だし」

「あら、良いでばな。おいの、めんだが(めだか)だっきゃビオトープでやってらんで、おもしれんだよ。みんず(水)の温度見んだり水草がら酸素ちゃんと出でらが見んだり。じょって飽ぎねや」

並子の母は面白いことをやるのが好きだ。
やりたいことをやるのが人生だと日頃から並子に言い聞かせている。
そうした甲斐もあってペットの観察日記を小学生で書き続け、並子が中学生になってからのテーマは軒並み身近な文化のことだ。
青森が好きな母の地元愛が取っ掛かりとなり、自分も郷土に関心を持つ並子だった。